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背徳的なスパゲッティ。

深夜にスパゲッティを茹でるというのは、どことなく背徳的な感じがする。イタリアンのコックをしている友人に言わせれば日常のひとコマかも知れないが、料理人でもない僕が日付も変わろうかという時間帯に自宅のキッチンに立ち、パスタ鍋に湯を沸かすことは、昼時や夕暮れ時にするそれとは違う意味を持つ気がするのだ。

今からちょうど1時間ほど前のことだ。ふと小腹が減っていることに気づき、気づいてしまったら無性にスパゲッティが食べたくなった。湯を沸かし、ニンニクをスライスし、鷹の爪を折って種を取り除く。生ハムでもトッピングしようかと冷蔵庫を眺めると、先日、美味しいカルボナーラを作ろうと買ってきたパンチェッタの残りがあることに気づく。アーリオ・オーリオにパンチェッタを加えて炒め、黒胡椒を挽いただけのシンプルなスパゲッティ。深夜のキッチンには、これくらいの手抜き加減が似合う。

ニンニクとパンチェッタを炒める匂いを嗅ぎつけた弟がキッチンを覗く。予定より少し多めのスパゲッティを鍋の上でひねり、茹で加減をチェックしながら待つこと7分。ざるに取ったスパゲッティをすぐさまフライパンに放り込み、何度かフライパンを振れば、幸せで不道徳なスパゲッティの完成だ。

ダイニング・テーブルをはさみ、特に会話もなくスパゲッティを口に運ぶ。会話はないけれど、背徳的な時間を共有するふたりの間には、どことなく親密な連帯感が漂う。その連帯感の隙間に、「お兄ちゃんが作ったから洗い物はオレだよな…」という弟の珍しい気遣いが入り込んでくるのを感じた。

この時間にスパゲッティを食べたからには、数時間は眠れない。悪夢を見るのを避けている僕に、眠らないためのちょうどいい言い訳もできたようだ。背徳的な時間は、まだもう少しだけ続く。

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Filed under: cooking, monology, ,

2 Responses

  1. tom says:

    幸せで不道徳さを堪能し、そのまま眠り込んでしまう僕の場合は
    “自堕落なスパゲッティ”でしょうか?
    あるいは“自虐的な”かなww

    これからイタリアンのコックの振りして、Hirokiレシピ試してみます

  2. hiroki says:

    >tom
    ぜひ試してみて^^
    もちろん深夜にね(笑)。

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